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STATEMENT

原子や分子といった世界の構成要素に着目し、微視的な視点から物質世界の構造やその奇妙さ、人類との関係性をテーマに作品を制作している。

ミクロな世界で現れる現象や原理は、半導体をはじめとする科学技術、化学、生物学、医療など多岐にわたる分野に応用されている。一方で、それらの現象や原理の多くは人間の直観に反する性質を持ち、どのように解釈するかという哲学的領域に達している。世界を構成するものが驚くほど奇妙な性質を持っていることに心を動かされ、我々が生きる現実世界の正体や本質は何なのかという好奇心から、量子物理学を専攻し学んだことが制作のきっかけとなった。

「物事を単純化し、枠にはめようとする行為」や、「単純化することによって生じる不正確な補間」といった人間の営みに対する関心も、制作の根幹となっている。これは物理学から得た知見や価値観と、作家自身の主観的かつ感情的な思想が交わる部分である。物理学をはじめとする科学は、あくまで物質世界を近似するものであること、他者をカテゴライズし理解しやすいパターンに当てはめること、さらには感情の言語化など、「本来の形」から「単純化された形」への変換で生じる差分に興味を抱いている。

こうした物理学的な視点をもとに、幅広く捉えた素材に意味を与えながら、新たな表現の可能性を模索している。​

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